昔ながらの馬油を膝のセルフケアに!注目の研究と簡単マッサージ法#181
2026年10月19日

昔ながらの馬油を膝のセルフケアに!注目の研究と簡単マッサージ法#181

お風呂上がりに、肘やかかとのカサカサが気になって保湿している方は多いと思います。そのついでに、膝の周りもやさしくケアしてみませんか。
きっかけは、膝の痛みで来院されている患者さんとの会話でした。「先生、最近は馬油を塗って膝をマッサージしているんです。膝の調子がいいんですよ」と教えてくださったんです。
馬油と聞いて、私は「ああ、懐かしいな」と思いました。若い頃から、年配の患者さんに「お風呂上がりに使っているねん」と聞くことがあったからです。今回は、私自身が実際に使って感じたことも交えながら、馬油を使った膝のセルフケアをご紹介します。
ただし、馬油を塗れば膝痛が治る、というお話ではありません。分かっていることと、まだ分からないことを分けて、無理なく取り入れていただきたいと思います。
目次
- 患者さんの「調子がいい」から考えたこと
- 注目した研究は「馬油」ではなく「ダチョウの油」
- 私が使って感じたのは、少量でもよく伸びること
- 始める前に知っておきたい使い方
- お風呂上がり約5分、膝の馬油マッサージ
- 昔から使われている安心感と、効果の証明は分けて考える
- 膝をいたわる時間を、無理なく続けてください
患者さんの「調子がいい」から考えたこと
その患者さんは、毎日お風呂上がりに肌の乾燥が気になるところへ馬油を塗り、その流れで膝もマッサージしていたそうです。使っている商品を聞くと、馬のマークで知られる「ソンバーユ」でした。私も以前から見かけたことのある商品です。
お話を聞いて気になったのは、何が膝の調子につながったのか、ということでした。
- 馬油そのものが何か役立ったのか。
- 毎日やさしくマッサージしたことがよかったのか。
- 保湿やマッサージなど、いくつかの要素が重なったのか。
患者さんお一人の実感だけでは、ここは判断できません。ただ、保湿の習慣がそのまま膝をいたわる時間になっていた点は、セルフケアとして面白いなと感じました。
注目した研究は「馬油」ではなく「ダチョウの油」
そこで改めて調べてみると、気になる研究がありました。2025年の、変形性膝関節症の患者さん90人を対象にした研究です。ただし、膝に塗っていたのは馬油ではなく、ダチョウの油でした。
この研究では、2か月間使用したところ、比較したグループよりも膝の痛みやこわばりについてよい結果が報告されていました。
「ダチョウと馬では違うやん」と思いますよね。私もそう思いました。そこで成分を調べると、ダチョウの油に含まれるオレイン酸、リノール酸、αリノレン酸といった脂肪酸は、馬油にも含まれていました。
ただし、同じ種類の脂肪酸を含むことと、同じ効果が得られることは別です。この研究を根拠に「馬油が変形性膝関節症に効く」とは言えません。私が今回調べた範囲でも、馬油そのものを膝に塗った場合の痛みの改善を直接確かめる研究は確認できませんでした。
興味深い材料ではありますが、治療効果が証明されたものとして受け取らず、保湿を兼ねたセルフケアとして考えてください。
私が使って感じたのは、少量でもよく伸びること
実際にソンバーユを手に取ってみて、まず感じたのは伸びのよさでした。ほんの少しでも、膝の周りへ広げやすいんです。
何も塗らずに皮膚をさすると、手が引っかかることがありますよね。馬油を薄く伸ばすと手が滑りやすくなり、軽くさする動作がしやすくなりました。私には、マッサージの補助として使いやすいという印象でした。
ケアしているうちに、肌がしっとりして、脚がぽかぽかする感じもありました。ただ、これはその場での私個人の感想です。膝の痛みが改善したことを確かめたわけではありません。
「油の成分がどう働くか」だけでなく、薄く伸ばすために、自然と膝の周りへやさしく触れることにも意味があるのではないかと感じました。
始める前に知っておきたい使い方
取り入れやすいのは、お風呂上がりの保湿の時間です。肘やかかとなど、普段ケアしている部分に塗ったあと、膝の周りへ進むと習慣にしやすいと思います。
- 量は少なめに。最初からたっぷり取らず、薄く伸ばします。
- 滑りが足りなくなったら少し追加。塗りすぎるとベタベタしやすくなります。
- 姿勢は楽に。座って脚を支えるなど、ご自身が続けやすい体勢を選んでください。
- 強く揉むのではなく、やさしくさする。痛みを我慢して押し込む必要はありません。
馬油は気温によって柔らかさが変わり、暑い時期には液状に近く、寒い時期には固くなることがあります。保管は商品の表示に従ってください。
お風呂上がり約5分、膝の馬油マッサージ
順番を完璧に覚える必要はありません。「前、内側、外側、後ろへ、薄く伸ばしながらさする」と考えると分かりやすいですよ。全体で5分ほどを目安に、無理のない範囲で行ってください。
1.お皿の周りをやさしくさする
少量の馬油を膝にのせ、お皿の周りへ広げます。手のひらや指の腹を使って、内側と外側をゆっくりさすってください。
まずは皮膚の上を滑らせる程度で十分です。上下に動かしたり、お皿の輪郭に沿ってなでたりしながら、薄く伸ばしていきます。お皿を無理に押し動かそうとしなくて大丈夫です。
2.お皿の下を軽くケアする
お皿の下には、膝蓋腱という腱があります。その周囲にも、指の腹で馬油を広げるように触れていきます。
膝を少し曲げたり伸ばしたりして、触れやすい角度を探してください。動かして痛む場合は、その動作を続けないようにしましょう。
3.お皿の上から太ももの前へ
次はお皿の上です。指の腹で皮膚や周囲の組織を軽く挟むようにしながら、やさしく動かします。強くつまんだり、体重をかけて押したりする必要はありません。
そのまま太ももの前へ手を移し、手のひらでゆっくりさすります。私が実際に行ったときも、揉みほぐすというより、皮膚の上を滑らせる感覚が近かったです。
4.膝の内側を無理なくさする
膝の内側にも薄く馬油を伸ばします。指の腹で軽く挟むように触れたり、手のひらでなでたりしてみてください。
片方の手が疲れたら、反対の手を使って構いません。右手と左手で触れやすさが違うので、「この持ち方でないといけない」と考えず、楽な方法を見つけてください。
5.すねの内側と、ふくらはぎの上へ
すねの骨の内側に沿って、手をゆっくり滑らせます。ふくらはぎの上の辺りも、同じように軽くさすっていきます。
この辺りは強く押すと痛みが出やすいので、力を入れすぎないことが大切です。骨をぐいぐい押すのではなく、周囲へ馬油を薄く広げるつもりで行いましょう。
6.膝の外側にも薄く伸ばす
次は外側です。お皿の外側から、膝の外側にある骨の出っ張りの周辺へ、手の届く範囲でやさしくさすります。
細かい場所を探し当てようとしなくても大丈夫です。内側と同じように、皮膚の上で手を滑らせてください。滑りが悪くなったときだけ、馬油を少し足します。
7.最後に膝の裏を軽くなでる
最後は膝の裏です。脚を楽な位置に置き、手の届く範囲を軽くなでるようにケアします。
奥へ指を押し込むのではなく、表面へ馬油を伸ばす程度で十分です。前、横、後ろとひと通り触れたら、無理に長く続けず終えてください。
昔から使われている安心感と、効果の証明は分けて考える
私がこの仕事を始めた頃から、馬油を愛用している方のお話はよく耳にしていました。今も使い続けている方がいると知ると、長く親しまれてきたものなんだなと感じます。
ただ、長く売られていることだけで、膝痛への効果が証明されるわけではありません。保湿の使い心地が好きな方もいれば、塗りながら体をいたわる時間を気に入っている方もいるでしょう。
今回、私が使ってよいなと思ったのは、少量で伸びて、保湿とやさしいマッサージを一緒に行いやすいところです。すでにご自宅に馬油があるなら、普段の保湿の延長として取り入れやすいと思います。
膝をいたわる時間を、無理なく続けてください
大切なのは、「しっかり揉まないと効かない」と頑張りすぎないことです。馬油を薄く伸ばして軽くさする。それくらいの気持ちで、ご自身の体の様子を確かめながら行ってください。
このケアは、医療機関での診断や治療の代わりではありません。痛みや体調不良が生じた場合はすぐに中止し、医師へご相談ください。効果や使い心地には個人差があります。
膝の痛みについて、ほかのケアや日常生活での工夫も知りたい方は、症状別セルフケアの記事一覧もご活用ください。体の使い方や膝・腰・股関節のケアは、さかとう整骨院のセルフケア動画一覧でもお伝えしています。
お風呂上がりの保湿に、膝をいたわる数分を足す。特別なことを頑張るより、そんな小さな習慣から始めていただければと思います。









