【膝痛】階段の下りの時に膝が痛い 原因と対策方法#028

2025年11月18日

 

【膝痛】階段の下りの時に膝が痛い 原因と対策方法#028

階段を下りるときに膝が痛む──これは変形性膝関節症の方や膝にトラブルを抱える多くの方からよく聞く悩みです。私も臨床でよく診る症状ですが、原因は一つではありません。今回は「なぜ階段の下りで膝が痛くなるのか」をわかりやすく解説し、今日から自宅でできる改善エクササイズと階段の降り方の練習を具体的にお伝えします。まずは自分の痛みがどちらのタイプかを確認しましょう。

目次

階段での膝痛は大きく二つのパターンに分かれる

階段の下りで痛む膝は主に次の二つのパターンに分かれます。

  • 残った側(片足を下ろした後、体を支えている側)の膝が痛むケース

  • 先に下ろした側(先に一段下に着いたほう)の膝が痛むケース

臨床では「残った側の膝が痛い」ケースが圧倒的に多い印象です。以下ではまずこの「残った側が痛い」場合のメカニズムと対処法を中心に説明します。

残った側の膝が痛む原因(動作のメカニクス)

階段を下りるとき、体重を支えている残った側の足は以下のような動きをします。

  • 足首が背屈(つま先を上げる動き)する

  • すね(脛)が前に傾く

  • 膝がつま先より前に出る

この動きを崩さないように、ふくらはぎ(腓腹筋など)と太ももの前(大腿四頭筋)が協調して働き、膝をゆっくりと曲げながら体重を受け止めます。ここで重要なのは筋肉の「使い方」です。

一般的に筋肉を使うイメージとして「縮んで関節を近づける」急伸性(動画内では急伸性と表現)がありますが、階段を下りるときに使われる太もも前・ふくらはぎの筋肉はむしろ伸ばされながら力を出す「遠伸性(遠心性)収縮」を強く使います。腕相撲で負けそうになって抵抗する動きに近いイメージです。

この遠伸性の筋収縮は関節への負担が大きくなりやすいため、階段の下りは太ももやふくらはぎに強いストレスがかかります。さらに、この瞬間には足首の背屈(足の甲をすねに近づける動き)も必要で、足首が硬いと正しく体重をかけられません。膝が悪い方ほど、痛みを避けるために患側に体重を乗せられず、逆に足が浮いたようにして歩いていることが多いのです。

先に下ろした側の膝が痛む場合(膝蓋下脂肪体が原因のことも)

先に下ろした側の膝が痛い場合は、膝周囲の「膝蓋下脂肪体(しつがいかしぼうたい)」の硬さや癒着が原因になっていることがあります。膝蓋下脂肪体は膝の動きをサポートする組織で、ここが固まると特定の動作で痛みが出やすくなります。この場合はその部位に対する専門的なアプローチが有効になることが多いです。

セルフチェック:あなたはどちらのタイプ?

階段をゆっくり降りたとき、どのタイミングで痛みが出るかを確認してください。

  • 片足で体重を支えた瞬間に痛む → 残った側の問題(太もも・ふくらはぎ・足首の連動性不全)

  • 先に下ろして着地したときに痛む → 膝蓋下脂肪体などの局所的問題の可能性

まずは基本の動き改善エクササイズ(三段階)

ポイントは太もも、ふくらはぎ、足首をスムーズに連動させることです。以下の順で行ってください。最初は支えのあるところの後ろに立ち、両手で支えをつかんで行うと安全です。

1. 両手をついた状態での半スクワット(5秒キープ×5回)

支えを持ち、軽く後方に下がった位置で膝をゆっくり曲げます。できれば膝がつま先より前に出るくらいの深さまで。太ももやふくらはぎ、足首が少し突っ張るところで5秒間ゆっくりキープして戻します。1セット5回を目安に。膝が内側や外側に向かないよう、つま先と膝の向きを揃えることが大切です。

2. 痛くない側の片足バージョン(5秒×5回)

次に痛くない側を前に出し、片足に重心を乗せるイメージで同じ動作を行います。支えは残しますが、できるだけ体重を痛くない側にしっかりと乗せること。これによりスムーズに動かす感覚を作ります。

3. 痛い側の片足バージョン(5秒×5回)

いよいよ痛い側を前に出して同じ動作。上体を曲げるのではなく「腰をグーッと押す」ようにして膝と足首を連動させてください。可能なら後ろ脚の体重をあまりかけず、少し浮かせるくらいで行うと効果的です。

これらを続けることで足首の柔軟性が改善され、太ももとふくらはぎの筋肉がスムーズに働くようになります。

階段の降り方トレーニング(段階的に行う)

多くの膝の痛い方は手すりを持ってゆっくりゆっくり降りる傾向があります。しかしその「ゆっくり」が逆に筋肉や膝に大きな負担をかけてしまうことがあります。本来、ある程度のスピードでパッと降りる方が筋肉や関節への負担は少なくなります。とはいえ痛みや恐怖があるため、無理して早く降りる必要はありません。段階的に練習していきましょう。

ステップ1:後ろ向きで降りる練習(痛くない方法から)

後ろ向きで一段ずつ降りると、膝が伸びた状態のまま降りられるため、意外と痛みが出にくいです。やり方は次の通りです。

  1. 手すりを持って安全を確保する

  2. 痛い側の足を先に下ろす

  3. 続いて痛くない側の足を下ろす

  4. 上るときは痛くない側から上げ、痛い側を上げる

これを正面から見ると「痛い方を下ろして痛くない方を下ろす、痛くない方を上げて痛い方を上げる」を繰り返す形になります。20回程度繰り返して感覚を慣らしましょう。慣れてくると動作が速くなり、痛みが和らいでいきます。

ステップ2:前向きで降りる(段差に慣れてから)

後ろ向きがスムーズになってきたら前向きで降りる練習に移ります。ポイントは痛い方の足を先に下ろすことです。動作は次のように行います。

  1. 痛い方の足を先に下ろす

  2. 痛くない方を添えて下ろす

  3. 上がるときは痛くない方を先に上げる

  4. 膝が内側・外側にぶれないよう、つま先の方向へまっすぐ下ろす

手すりは常に持ったままで構いません。初めはゆっくり、慣れてきたら少しだけスピードを上げてみてください。早い動作は筋肉と関節の負担を減らします。

注意点と受診の目安

  • 痛みの程度には個人差があります。強い炎症や激しい痛みがある場合は無理に運動を始めないでください。

  • 開始のタイミングや強度は整形外科や治療院の専門家と相談して決めると安心です。

  • 先に下ろした側が痛む場合は膝蓋下脂肪体の問題が隠れていることがあるため、専門的な評価とケアが必要になる場合があります。

日常で気をつけるポイント

  • 階段を避けすぎないこと。ただし痛みが強いときは無理をしない

  • 片足立ち(バランス訓練)を取り入れると安定性が高まり効果的

  • 足首のストレッチや柔軟性を保つこと

FAQ

階段の下りで膝が痛いけれど歩くのは平気です。どの練習から始めればいいですか

まずは支えのある場所で行う両手つきの半スクワット(膝をつま先より少し前に出す)を5秒キープで5回から始めてください。次に痛くない側の片足で同じ動きを行い、最後に痛い側を行います。痛みが強い場合は無理をせず専門家に相談してください。

階段を早く降りると安全ですか

必ずしも早く走ることを勧めるわけではありませんが、恐怖心から極端にゆっくり降りると筋肉や膝への負担が大きくなることがあります。練習を通して適度なスピードで降りられるようにするのが目標です。手すりを使い、安全を確保しながら段階的に慣らしてください。

先に下ろした側が痛む場合はどうすればいいですか

先に下ろした側の痛みは膝蓋下脂肪体の固さや炎症が原因のことがあります。セルフケアだけで改善しない場合は専門的な評価と治療が必要ですので医療機関や専門家に相談してください。

毎日行うべきですか

最初は無理のない回数で毎日または隔日に続けるのが良いです。痛みが強い日は休むか強度を落としてください。安定してきたら回数や強度を徐々に増やします。

片足立ちの練習はどのくらい効果がありますか

片足立ちはバランスと筋力の改善に非常に有効です。階段の下り動作で安定性が高まることで膝への負担が減り、痛みの改善につながります。段差練習と併用すると効果的です。

最後に一言。膝の痛みは原因を正しく理解して段階的にアプローチすれば、日常の不安や痛みを軽減できます。今回紹介した運動や降り方の練習を続けてみてください。もっと詳しい相談や個別のセルフケアを希望される方は専門家にご相談ください。お疲れさまでした、今日から少しずつ取り組んでいきましょう。