膝が痛い人へ|足のクッション(足底アーチ)を復活させる体操3選#032

2025年11月18日

 

膝が痛い人へ|足のクッション(足底アーチ)を復活させる体操3選#032

膝の痛み、特に変形性膝関節症でお困りの方へ。膝の痛みは膝だけに原因があるとは限りません。足のアーチ、特に「横アーチ(前から見た扇状のアーチ)」が崩れると、膝にかかる圧力やねじれが増してしまいます。今回は足底の内在筋を鍛えて横アーチを再構築するための具体的な体操を、実際にやり方まで丁寧にお伝えします。家の中やお風呂でもできる簡単なセルフケアですので、ぜひ続けてみてください。

目次

まずは基礎知識:足のアーチがなぜ大事か

足は片方で28個もの骨で構成されており、そこに筋肉や靭帯が働いて3つのアーチを作っています。3つのアーチとは次の通りです。

  • 内側縦アーチ(いわゆる土踏まず)

  • 外側縦アーチ(小指側の縦アーチ)

  • 横アーチ(前から見たときに親指から小指にかけての扇状のアーチ)

この3つはカメラの三脚のように体重を支え、前後や左右の傾きを防ぎ、地面からの衝撃をたわませて分散します。しかし、このアーチが潰れると踏ん張りが利かず、膝へ伝わる衝撃や床反力(地面から跳ね返る力)がそのまま膝に集まり、圧迫やねじれを引き起こします。

膝痛の主な2つのメカニズム

一般の膝痛は大きく分けて次の2つの力が原因になります。

  1. 上からの重みと下からの突き上げ(圧迫力)による摩耗や圧迫

  2. 上と下で噛み合うねじれの力によるダメージ

足のアーチが低下すると、この両方に悪影響を与えます。歩行時は体重の2倍〜3倍の力がかかるため、アーチのクッション性が弱いと膝への負担は急増します。さらに内側に倒れ込みやすくなると、いわゆるニーイン(膝が内側へ入る)や横ストレスが強くなり、膝の痛みを招きます。

アーチ低下の対処法:インソールだけでは不十分

アーチの低下に対しては市販のインソールを入れる方法がありますが、それだけで十分に改善しないケースが多いです。大事なのは「足の指を使えるようにする」こと。つまり、足の指先にある小さな内在筋(足の中だけにある筋肉)を使えるようにすることが根本的な解決につながります。

今回鍛えるべき内在筋(3つ)

今回は横アーチを作るために特に重要な内在筋を3つ取り上げます。どれも足先だけで使う小さな筋肉です。

  • 短母趾屈筋(たんぼしくっきん) – 親指の付け根にある、親指を曲げる筋

  • 母趾内転筋(ぼしないてんきん) – 親指を小指側へ寄せる斜め方向の筋

  • 虫様筋(ちゅうようきん、動画では中腰筋として説明) – 指の付け根(MP関節)を丸くドーム状に保つ筋

体操3選(実践編)

基本は10回を3セット、合計30回のイメージで行います。足がつるようであれば途中で休憩し、無理はしないでください。座りながら、ソファで、またはお風呂の中でもできます。各動作では足首の角度がポイントで、足首を90度よりやや下向き(足先を少し下げる)にすると長母趾屈筋などの長い筋を使いにくくなり、内在筋を純粋に働かせやすくなります。

1. 短母趾屈筋のトレーニング

目的:親指の付け根にある短母趾屈筋を使って横アーチの前方支持を強化します。

  1. 足首を少し下向きに(足先を軽く下げる)して座ります。

  2. 親指の腹(付け根の部分)を内側に引っ張るイメージで準備します。

  3. その引っ張った状態から、足先だけの力で親指を床側に向かってゆっくり戻すように曲げます。ここで長母趾屈筋を使わないように注意します。

  4. ゆっくり10回×3セット(合計30回)。最初は5〜10回でも構いません。

ポイントは「ここから先だけ」の感覚を出すこと。最初は非常に疲れやすく、つりそうになる方が多いので、丁寧に行ってください。

2. 母趾内転筋のトレーニング

目的:親指を小指側へ斜め下に寄せる力をつけ、横アーチを内側へ引き寄せる力を強化します。

  1. 短母趾屈筋と同様に足首をやや下向きにします。

  2. 親指を斜め下(小指側)へ引っ張る準備をして、その方向に向かって親指を曲げます。

  3. この動きも足先だけで行い、他の筋肉で代償しないように注意。

  4. こちらも10回×3セット(合計30回)を目標に行います。

前方へ真っすぐ引く短母趾屈筋の動きと、斜め内寄せの母趾内転筋を組み合わせることで、親指の周辺の前方アーチが安定してきます。

3. 虫様筋(中腰筋)/タオルギャザー(膝伸ばし版)

目的:指の付け根(MP関節)を丸くドーム状に保つ力をつけ、横アーチ全体を支える。

通常のタオルギャザーは膝を曲げて行いますが、そのままだとふくらはぎや長母趾屈筋など他の筋肉が働いてしまいます。内在筋を純粋に鍛えるには、膝を伸ばした状態で行うのが効果的です。

  1. 椅子に座り、膝を伸ばした状態で足先だけを使って床のタオルを手前に引き寄せます。

  2. あるいは、指先を伸ばしたまま「掴む」イメージで足先を丸くして、MP関節(握り拳の出っ張りに相当)をドーム状にする動きを行います。

  3. こちらも10回×3セット(合計30回)。慣れるまでは回数を少なくして徐々に増やしていきます。

実践時の注意ポイント

  • 足首の角度は90度より少し大きめ(足先を少し下げる)にすることで内在筋のみを働かせやすくなります。

  • 最初は足がつる、あるいは非常に疲れる感覚が出ることがあります。無理せず休憩を挟んでください。

  • 家の中、ソファで座っているときやお風呂の中でも行えます。継続が大事です。

  • 痛みが強い場合は無理に回数を増やさず、専門家に相談してください。

続けるとどう変わるか

内在筋が使えるようになると、地面をしっかり掴む感覚が出てきます。横アーチが回復すると縦アーチも安定し、上からの衝撃を分散できるようになります。その結果、膝への圧迫やねじれが減り、股関節や膝の痛みの軽減につながることが期待できます。

よくある質問

どれくらいで効果を感じられますか

個人差はありますが、毎日続けて2〜8週間で歩行時の安定感や疲労感の軽減を実感される方が多いです。痛みの強さや関節の変形度合いにもよるため、続けながら専門家と相談するのが良いです。

タオルギャザーをやるとふくらはぎが疲れます。これでも効果ありますか

膝を曲げた状態で行うとふくらはぎの影響を受けやすく、内在筋への刺激が薄くなります。できるだけ膝を伸ばした状態で、足先だけを使うイメージで行ってください。最初は難しいので回数を少なめに調整して徐々に増やしましょう。

体操中に足がつります。どうすればいいですか

一旦休憩し、軽くマッサージしたり足を動かして血流を整えてください。つりやすい方は回数を少なくして頻度を増やす、もしくは1日数回に分けて実行する方法がおすすめです。

インソールは無意味ですか

インソールが全く役に立たないわけではありませんが、根本的には「自分の足で踏ん張れる力」を取り戻すことが重要です。インソールは一時的な補助としては有効ですが、内在筋を鍛えるセルフケアと併用するのがベストです。

外反母趾や内反小趾にも効果がありますか

外反母趾や内反小趾で足指をうまく使えていない方は多く、内在筋のトレーニングで改善するケースもあります。変形が進んでいる場合は外科的・装具的な対応が必要なこともあるため、状況に応じて専門家に相談してください。

まとめ

横アーチの低下は膝の圧迫やねじれを招き、膝痛の大きな原因になります。短母趾屈筋、母趾内転筋、虫様筋という足の内在筋を丁寧に使えるようにすることで、横アーチを再構築し、膝への負担を軽減できます。今回ご紹介した3つの体操は、特別な器具もいらず、座っている時やお風呂で簡単にできます。いきなりたくさんやるのではなく、無理のない範囲で続けることが最も大切です。定期的に続けて、地面をしっかり掴める感覚を取り戻しましょう。

何か不明点があれば専門家に相談するか、気軽に質問してください。無理せず、少しずつ改善していきましょう。