ひざ痛の人はヒアルロン酸注射より膝を振れ#008

2026年01月6日

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膝の痛みでヒアルロン酸注射を受けた経験がある方は多いでしょう。短期的には「滑りが良くなった」「痛みが和らいだ」と感じることがありますが、長期的に見ると本質的な改善につながらないことも少なくありません。ここでは、膝の構造とヒアルロン酸の働きを分かりやすく説明し、注射のメリット・デメリットを整理します。さらに、関節の内側から元気にするための簡単なセルフケアも紹介します。

目次

膝の基本構造と「滑液」「滑膜」の役割

膝関節は大腿骨(上)と脛骨(下)の間に軟骨があり、半月板も含めて関節包という袋に覆われています。関節包の内側には滑膜という膜があり、ここから滑液(関節液)が分泌されます。滑液は軟骨に栄養を与え、摩擦を減らし、衝撃を吸収することで関節を良好な状態に保つ重要な役割を担います。

年齢や使い方の影響で滑膜の働きが落ちると、滑液の分泌が減り、古い滑液や老廃物が溜まりやすくなります。結果として軟骨の水分が失われ、摩耗しやすくなり、変形や痛みにつながることがあります。

ヒアルロン酸注射の仕組みと期待できる効果

ヒアルロン酸は粘性を持つ液体で、滑らかさとクッション性という二つの性質があります。速い衝撃にはクッションのように受け止め、ゆっくりの動きには滑らかに動かす。この性質が関節内での摩擦を減らし、衝撃を吸収してくれます。加えて、炎症を抑えたり痛みを和らげる作用、軟骨保護の期待も一部であります。

そのため、注射後に一時的な痛みの軽減や動きやすさを実感する人は多いです。ただしこの効果の持続や、根本的な「関節内の循環」を取り戻す力には限界があります。

なぜヒアルロン酸注射だけでは根本解決にならないのか

滑膜が元気であれば新しい滑液を分泌し、古い滑液を排出することで関節内は常に循環しています。しかし滑膜の機能が低下していると、入れたヒアルロン酸はやがて古くなり、排出・再生のプロセスが滞ります。例えるなら、エンジンオイルを入れるだけでエンジンの消耗部分そのものが直るわけではなく、オイルが汚れたまま蓄積すると燃費やエンジンの性能が落ちるということです。

さらに、外から補うことで滑膜が「もう十分だ」と認識してしまい、自分で滑液を分泌する働きがますます低下する可能性があります。これにより注射を繰り返す悪循環に陥るケースがあるため、長期的な改善を目指すなら注射だけに頼るのは考えものです。

関節を自分で元気にするには「動かす」ことが一番

滑膜を刺激して滑液の分泌を促すために必要なのは、関節に適度な刺激を与えること、つまり動かすことです。動かすことで滑膜が「滑液を出さなければ」と認識し、循環が改善されます。循環が良くなると軟骨への栄養も届きやすくなり、結果として関節全体が元気になっていきます。

すぐにできる膝のセルフケア体操(痛みが強い場合は医師と相談してください)

以下は刺激が少なく、朝や長時間座った後の「最初の一歩」で行うと効果的な運動です。ポイントは力を抜いて脱力すること。無理に力を入れず、揺らすように動かしてください。

体操1:寝床や椅子の端で行う膝のブラブラ運動

  1. ベッドの端や椅子の縁に座り、片膝を軽く上げる。

  2. 太ももに力を入れず、膝から先をぶらぶらと30回ほど揺らす(朝の動き始めに行うと効果的)。

  3. 両手で支えたり、反対の手で軽く動かしてもOK。座り続けていた後に10回程度でも効果あり。

ポイントは朝起きてすぐ、あるいは動き出す前に行うこと。寝る前よりも動き始めに行うと関節の循環が立ち上がりやすくなります。

体操2:小さな台や階段で行う股関節からのブラブラ運動

  1. 小さな台に片足を乗せ、反対の足をだらんと垂らす(安全のため壁や手で支える)。

  2. 股関節から足全体を力を抜いて前後や左右に30回ほど揺らす。

  3. 膝の症状がある人は股関節も一緒に動かしておくと負担の分散と循環改善に有効。

下半身の関節は構造が似ているため、股関節や足首も同時に動かすことで全体のバランスが整いやすくなります。

日常で気をつけたいポイント

  • 痛みが強いときは無理をしない。運動が全くできないほどの痛みがある場合は医療機関や専門家に相談する。

  • こまめに動かす習慣をつける。長時間座る仕事の合間に軽い揺らし運動を入れるだけでも効果がある。

  • 注射は一時的な対処として考える。根本改善には運動や生活習慣の見直しが重要。

まとめ

ヒアルロン酸注射は滑りとクッション性を補って一時的な痛み軽減をもたらしますが、滑膜の機能低下という根本原因をそのままにしておくと長期的には頼り切れない面があります。滑膜を自ら働かせるために関節を動かすことが重要です。今回紹介した脱力して行うブラブラ運動は、刺激が少なく日常に取り入れやすい方法です。痛みが強い場合や不安がある場合はかかりつけ医や専門家と相談してください。

よくある質問

ヒアルロン酸注射は完全に無意味ですか

一時的な痛みの軽減や動きやすさの改善は期待できますが、滑膜や関節の循環機能を回復させるものではありません。長期的な根本改善を目指すなら運動などの併用が重要です。

注射はどれくらいの頻度で行われますか

一般的には医師の判断で週に1回などのペースで行われることがありますが、頻繁に繰り返すと関節内の循環改善が進まない場合があります。頻度は症状や医師の方針に従ってください。

注射のリスクや副作用はありますか

注射部位の感染や局所の炎症、アレルギー反応のリスクがあります。注射を受ける際は医師とリスク・ベネフィットをよく相談してください。

自宅でできる他の改善方法はありますか

今回紹介した脱力して行うブラブラ運動のほか、筋力トレーニングや体重管理、歩き方の改善などが有効です。状態に応じたエクササイズは専門家に相談して行うと安全です。

強い痛みで全く動けない場合はどうすればよいですか

無理に動かそうとせず、かかりつけ医や整骨院などで現在の状態を診てもらってください。適切な治療方針やできる範囲のリハビリ運動を提案してもらえます。